エマ10巻 感想&総括 

雑記
 自分にとっての理想の生活って何だろう。
 それさえわかれば、お金なんてあまり必要ないかもしれない。

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10巻

 番外編も「エマ」も、この10巻で終わりとなります。本編主人公であるウィリアムとエマの二人もしっかりと登場します。

 最初の自転車の話。何だか地味な話にも思えるのですが、よくよく読んでみると、なんだかこの話が最も雰囲気あるような気がしました。何だろうね、派手な問題は一切起こっていないのに、大作RPGをクリアしたようなこの清々しさ。日常の中に在る、意義?
 アデーレの話は、メイドがメイドとしての仕事に感じる意味を説明してくれるような話でした。使用人になりたいだなんて一切思っていない自分にとってはなかなか新鮮です。部屋を掃除した後のような気持ち良さ、あるべきものをあるようにする、そんな心地よさ。

img080.jpg 最終話は3篇にわたる、「新しい時代」。ウィリアムとエマとの結婚式を描いています。本編で登場したキャラクターのほとんどが登場する、いかにも最終話らしい最終話です。
 結婚式のシーンは森薫さんの作画のこだわりも十分に発揮されていましたね。式に参加するいろんな立場の人たちの服装はかなりの種類がありますし、もちろんエマのドレスも、描き込み量半端無いですわ。
 エマは結婚式で自分の姓を書き込むとき、自分を育ててくれたケリー夫人の「ストウナー」をいただいています。ケリー夫人の死去は序盤のほうにありましたが、やはりそれでも彼女の影響はエマにとってはものすごく大きなものだったのでしょう。ケリー夫人に仕える前とケリー夫人が死んだ後の身寄りがないエマが、この結婚によってしっかりとした拠り所を見つけたということです。孤独で寂しい人生を送っていたエマが、今やこんなにも多くの人々に祝福されているということ。それはなかなかどうして、素晴らしい。


総括
 まず、作画がすごいということ。連載期間が長いため1巻と10巻では少し絵が違うような感じですが、これは描き込み量が巻を進めるにつれて増えてきているからでしょうね。
 描き込みは特に、装飾品とかに対してはものすごいように見えます。家具とか、インドの服装とか、その辺りに関しては、何か素材とか使っているのかな?とかそういう疑問が浮かんでしょうがないです。でもやっぱり、自分の手で描き込みまくっているんだろうな…。すげえわ。
 作画の上手さだけでなくて、その時代のその国でどのような家具や生活習慣をしていたかというものをちゃんと調べて描いているというのも素晴らしいですね。まあ私は素人なので正解は知らないのですが、あとがきで資料を買い込んでいる描写があるので、やはり忠実に描いているのでしょうね。

 エマ本編はかなり繊細で情緒のある、何となく静かな雰囲気のあるものでしたが、あとがきはその雰囲気をぶち壊すようなものすごく明るくて強引で暴走気味なので、印象に残りすぎですよ。
 本編に出てくるこまかな物に対する説明とかはもちろんありがたいし面白いのですが、作者本人もかなり面白い。こだわりを持つ人は個人的に好きですが、あまり一般受けしない場所にかなりこだわるのは素人の私にはなかなか理解できない…、だが、それがいい!
 こういう、活発で暴走気味な人格なのに、作るものは案外繊細な女の人ってどこかにいたような…、あっ、そうだ、「エジプトゲーム3部作」開発者の人だ。

 さて、ストーリーですが、私は思うのです、この漫画の表向きのテーマは『貴族とメイドの身分違いの恋』のようですが、本当のテーマは『イギリスの産業革命時の大衆生活そのもの』だと。
 冒頭と番外編最終話、この漫画はイギリスの産業革命の時代が舞台となっていることを説明してくれています。最初と最後にこれがあるので、この物語にとってはものすごく重要な設定であることは間違いないでしょう。また、作者が描きたいだけ描いただけかもしれませんが、本編以外にも番外編が全3巻もあり、「エマ」の大きな要素となっています。番外編に載っているのは、いろんな人のいろんな舞台のいろんな物語。
 おそらく本当の主人公は、「そこに生きる人々全員」だったのではないでしょうか。

1~3巻
4~6巻
7~9巻
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