小説「宮本武蔵」6巻 感想

雑記
 寒い!寒いけど…、空気が澄んでいて気持ちがいいからやっぱり冬が好きだ。

宮本武蔵(六) (吉川英治歴史時代文庫)宮本武蔵(六) (吉川英治歴史時代文庫)
(1989/12/26)
吉川 英治

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6巻

 6巻の武蔵は、法典ヶ原という関東平野のとある地域と江戸が舞台となります。
 調べてみると「法典ヶ原」は、千葉県船橋市辺りにあったそうです。関西・中部圏に住んでいるので関東平野の地理はよく知らないのですが、洪水によって作られた沖積平野なのかな?だから昔は災害のよく起こる荒地だったというわけ?
 そうそう、ちなみに武蔵のエピソードで有名な、「箸でハエを捕らえる」というのはこの6巻にあります。

 5巻では武蔵は中山道や甲州道を通ったり色々歩いて、「法典ヶ原」という人が少なく洪水の多い地域にたどり着いたそうな。そしてそこで出会ったのが、将来宮元武蔵の養子となり武蔵の記録を残した伊織と出会います。
 小説中の伊織は、かつての武蔵の弟子であった城太郎と雰囲気がそっくりです。武蔵が子供好きであってか、武蔵と伊織のやり取りは和みます。師弟の関係であってもお互いお互いを尊敬しあっているような、心地いい関係ですね。
 
 災害が多いので見捨てられていた場所の多い坂東平野ですが、ここで武蔵は剣から鍬へと持ち物を変え、一人の農民、生活する一人となります。その理由は、「これも修行となるから」
 武蔵は剣以外の道に進んでいる人々を尊敬したことがあったりしましたが、農民の一人になったのもこの理由からでしょう。あらゆる技術・生き方は、最終的には一つの道に集約され、だからこそ一見違うものでもそれは「道を歩む」ことになるのでしょうね。
 農民の一人となっても武蔵は最初はやはり思い通りに行きませんでしたが、そこから学べるものも多くあったようで、それは「自然に逆らうのではなく、その力をうまく利用すべき」というこのようです。そのことはやはり剣の道にも通じることだし、もっと大きく言えば、「良く生きる方法」にも繋がることでしょう。

 武蔵が住んでいる近くの村が賊に襲われることがあるのですが、そこで武蔵が力を貸してやるシーンはエンタメ的にかなり面白い箇所でしたよ。
 ただ単に武蔵が敵をバッサバッサと切り倒していくだけでなく、村人に武器を持たせて立ち上がらせるんですからね!素直に心が躍ってしまった…。

 武蔵に加えて武蔵の知己である多くの人間が江戸にやってきます。そこには佐々木小次郎もいます。
 小次郎は出世しようとしていますが、小次郎の考えが武蔵と対照的なところが面白いですよ。小次郎が剣の修行をしていく理由は、

「立身のため、名を揚げるため、故郷へ錦を飾るため、そのほか人間と生まれたかいをあらゆる点で満足させるためだ。そのためには、今の時代では何と言っても兵法に優れることが出世の早道である」

とのこと。武蔵が剣を通じて人生全体、人間全体を学ぶことに比べると、小次郎の考えはいささか陳腐に思えますが、事実強いから誰も文句を言えない。例えいかなる高尚な考えを持って剣の修行をしていても、強くなければ「本気」は見られず、高尚な考えは見せかけのものだというようにしか思われません。
 剣士として強くなることを目指す小次郎と、人として強くなることを目指している武蔵ですが、果たして本当の強さを持つ人間とは一体如何様なものなのか。

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テーマ : 読書感想文 - ジャンル : 小説・文学

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