雪国 感想

雪国  作 川端康成

 ノーベル文学賞を受賞した川端康成さんの代表作の一つ、雪国について感想を書きます。
 よく読書感想文の課題にもなる馴染みの深い小説ですね。

雪国 (新潮文庫 (か-1-1))雪国 (新潮文庫 (か-1-1))
(2006/05)
川端 康成

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 まず第一に言うと、この小説は一般的な小説とは楽しみ方が違うような気がします。普通の小説には、ストーリーがあって人物がそれに従って動き、その物語の中で何を思ったり行動するか、ということが書かれていますね。
 しかし、この小説では上記のような「小説らしさ」を重視しているのではなく、まるで絵画のように、人や自然の中のあるがままな様子を抽出しているように私は思えるのです。つまり、普通の小説を「デジタル」とすると、この小説は「アナログ」に徹していると思うのです。

 例えば、「私は足元に咲いている花が綺麗だと思った」という文があるとします。しかし、現実では「綺麗だ」と感じる様子はたった一つではなく、そこに至るまでの過程や周りの環境、自分の過去だとか自分の人間性などが自分の「感じ方」の要素となり、その「感じ方」の種類は無限にあると思うのです。
 さらに例えて言うと、自分のことを「落ちこぼれだ」と思っているときは、花の力強さに感動して「綺麗だ」と思ったりします。花の周りが全て荒野となっているときは、たった一つで孤独に生きている花の寂しさを「綺麗だ」と思ったりもします。

 つまり、この小説は一般人ならたった一文で済ましてしまうような気持ちを、小説家として本物や美を究極的に目指したような、そんな文章がこの「雪国」であり魅力の本質であったと思います。
 人が、人や自然と衝突したときに出てくる「想い」という美しい火花が、発生し散っていく様子を読者はただ「美しい」と思いながら眺める…、この小説はそんな風に感覚的に味わうのが良いのではないでしょうか。


 物語についてしいて感想を書くのなら、やはり物語は島村と駒子の関係、特に島村の感じ方がかなり重要なものでした。島村は駒子に対してよく「徒労」だと感じています。しかし、その無意味なことに頑張る「徒労」が持つ純粋さに惹かれているようですね。
 島村は駒子と特別な関係になろうとしません。だから、島村はそのことに対しても駒子に「徒労だ」と感じていますが、その徒労がこの関係の魅力そのものだと島村が感じているということが、なかなか面白いところです。
 う~ん、こう書いていってみるとこの小説には「純粋さ」というのもなかなか大きなキーワードのようですね。雪国の娘達が純粋に編んだ麻の服だとか、葉子の純粋な想いだとか、島村に対して純粋な自分を曝け出す駒子とか。


 正直、中高生がこの小説で読書感想文を書くのは少しつらいと思います。「物語」としての魅力はなかなかわかりづらかったり、この小説がそこを重視していなかったりするかもしれませんし。この小説の楽しみ方は、絵画の楽しみ方と同じようなものでしょう。ある感動する絵を見て「この絵について感想を書け」なんて言われてもかなり難しいですしね。言語化出来ない物を言語にしようとしているのですから。
 私はこの小説を一読したとき、魅力がよくわかりませんでした。しかし、解説を読めば結構この小説が何であったかを理解できたので、本文だけでなく解説を読んだりすることもオススメです。

テーマ : 読書 - ジャンル : 小説・文学

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