漫画版グミ・チョコレート・パイン4~6巻 感想 

雑記
 名古屋に住んでいる自分には、節電なんて関係ねえ!
 クーラー消すと、マジで疲れが取れん。
 疲れが取れなければ、今やっている作業が遅れちまう。

4巻

img042_20110114124901.jpg 4巻では→の「何だ、バカ野郎!」のシーンが気持ちよかったです。山口に追いつこうとして悩んでいたのは、自分が山口が好きだったからなんていう凡庸な考えによって支配されていたのか!というもやもやを、思いっきり打破してくれましたね。
 しかも、このシーンがきっかけになって大分「バンドらしさ」が出てくるようになり、本格的に「始まった」感が出ていて、希望に溢れているような印象を受けました。みんながみんなを高めていくような一致団結も描かれていて、陰鬱したグループが始めて心からやる気を出してくれて、少し感動。

 この後、ライブでは賢三の好きな映画などの技法を活かしたパフォーマンスをすることによって、それなりに人気が出てくるようになります。賢三たちのストーリー進行と同時に、美甘子の役者としての飛翔っぷりも始まってきて、お互いが行動を開始した、という前向きさがあっていいですね。
 ただ、賢三は必死に美甘子に追いつこうとしているのに、美甘子は賢三なんてほとんど眼中に無いようなので、少し賢三が哀れな感じがします。
 お互いが業界に入って、いろんな才能を持った人たちに出会ったりして、「自分はそれほどでもない」というようなことを痛感しながら、必死に努力していきます。それでも一歩一歩前に進もうとする彼らは、少し、大人になったように思います。


5巻

img043_20110114124901.jpg 5巻の最初の2話は、いかにも高校生バンドらしい、アホな話で笑えます。以前読んだ「青春デンデケデケデケ」みたいで楽しいです。しかし、その後自分達の将来について本格的に考え始めるところは一気に暗くなります。その様子も、「青春デンデケデケデケ」みたいです。
 タクオは本気でミュージシャンを目指し、親とも対立します。カワボンは親の意向で国公立の大学を目指します。カワボンのバンドにかける時間は少なくなり、バンドメンバーは空中分解しそうになります。賢三は美甘子の華々しいデビューを見て、「もう美甘子を追うのはやめにする」として現実を受け入れます。
 もう彼らには、「自分たちは高校のやつらとは違う何かを持っている!」というような毒々しい信念を持っておらず、ただただ現実を知って受け入れ、「普通」になろうとしていました。

 しかし、そんな状況で賢三はこのようなことを言います。

「中途半端な失敗をすると自分達の自信を減らすことになる。このバンドの完全燃焼をこれから生きていく第一歩にしたい。バンドやろーぜ


 この、「バンドやろう」という言葉が、1巻で出てきたものと意味合いが大きく違っているのに感動しました。
 1巻では「自分たちは何かを持っている。高校のやつらを見返す。」というのがバンドの目的であり、それほど本気らしさは見えませんでした。最終目的は具体的に一体何なのか、ということも考えていないようでしたし。
 しかし、今回のバンドをする目的は「現実を受け入れた自分達が、全力で、夢のような曖昧なものではない、目標を、達成する」ということのようです。自分の力量を知った上での、全力の行動です。
 彼らは確かに、大人に近づいたようです。自分を過大評価してしまったり、実力が露呈してしまうことを恐れて全力を出さなかったりする子供ではなくなりました。


6巻

 最終巻です。スペシャル構成でお送りいたします。

 遂に、賢三たちが高校のやつらを見返すときが来ました。山篭りをして、短期間でレベルアップを図ろうとします。「脳髄ダイヤ」の一員としての自覚がないタクオが、みんなと音楽を合わせてきて、メンバーが一致団結していく様子はまさに青春バンド漫画。こういう漫画にはよくあるシーンですが、それでもやっぱり感動します。
 クラスの一人一人にスポットライトが当たっていき、彼らの夏の出来事と失敗などが紹介されていきます。作中でも賢三が言っていましたが、やはり一人一人にドラマがあり人生があるのです。ただ、自分達がそれに気がつかないだけで、だから賢三たちや私たちも他人のことを「よくある人間の一人」だなんて認識してしまうのでしょうね。大橋賢三達のこの物語も、偶然彼らが物語として描かれたので彼らは特別な印象を受けますが、結局は誰を主人公にしたってドラマチックな物語になるのでしょうね。クラスの普通のやつだって、悪ぶったやつだって。

 美甘子は大舞台に立つことになります。プレッシャーに押しつぶされそうになりますが、女優を志した「野心家」として、舞台に立つことを決意します。賢三たちもワンマンライブを開催します。
 美甘子の舞台と賢三たちのライブはリンクしてきます。
 
img044_20110114125047.jpg






img045_20110114125047.jpg


 もう本当に、この構成は素晴らしすぎる。
 一見関係無さそうな、美甘子の舞台と賢三たちのライブですが、この構成によって大きな意味を持つようになっています。
 ここでの「森の木」とは凡庸な普通の人間を表し、「森の木は未来永劫、一歩も動くことは無い」というのは、「凡庸な人間は一生凡庸なままだ」ということを表しているのでしょう。
 しかし、「森が動いてる」のです。これは、「凡庸な人間でも行動することは出来る。いつまでも凡庸なままでいるとは限らねーぞ!」というようなことを表しているのでしょう。

 いやはや、ライブと舞台をリンクさせたこの技法には感服ものですよ。しかも、シェイクスピアの「マクベス」を知っていてさらにそれを活かすことのできた作者の知識にも感服。
 ラストのカタルシスは、漫画界屈指の出来だと私は思います。ここまで作者の言いたいことを前面に押し出して、なおかつ「上手い」ですからね。佐々木さんを見くびっていましたよ、私は。
 一人一人の人生と存在がリンクしていく様子、全てが収束していく物語としての終末さ、「凡人」でくくられる人間なんて誰もいないという人間の尊さ。それら全てがラストシーンによって描かれていたことは、もう、言葉も無いほどの感動です。

 大人に成った、彼らの軌跡と奇跡は、総括で書くことにします。


1~3巻

総括

グミ・チョコレート・パイン 4 (月刊マガジンコミックスDX)グミ・チョコレート・パイン 4 (月刊マガジンコミックスDX)
(2004/01/16)
大槻 ケンヂ

商品詳細を見る
グミ・チョコレート・パイン 5 (月刊マガジンコミックスDX)グミ・チョコレート・パイン 5 (月刊マガジンコミックスDX)
(2004/11/17)
大槻 ケンヂ

商品詳細を見る
グミ・チョコレート・パイン 6 (月刊マガジンコミックスDX)グミ・チョコレート・パイン 6 (月刊マガジンコミックスDX)
(2005/11/17)
大槻 ケンヂ

商品詳細を見る
web拍手 by FC2

0 Comments

Leave a comment