恋ヶ窪★ワークス 感想 

雑記
 幼い頃から絵がど下手な自分が、何か物語のようなものを作ろうとした場合、それを発表する媒体は小説かフリーゲームくらいしかないのかもしれない。
 まあそれでも、世の中に物語は無限だと思えるほどあるから、自分が思いつくようなものなんて、すでに発表されているんだろうなあ…。所詮できるのは、一過性の消費される物語だけか。



恋ヶ窪ワークス

img038_20101221044456.jpg バイク雑誌「ミスターバイク」で連載されていた、恋ヶ窪ワークスの感想です。
 今回手に入れたのは、愛蔵版です。ミスターバイクの付録として数話をまとめていたものではなく、ちゃんとした単行本で出版されたもの。そういやあ、漫画雑誌以外に載っていた漫画の単行本買ったのは、これが始めてかも。
 バイク雑誌に載っていた漫画だけあって、もちろん漫画にバイクが出てきます。が、それほどバイクに乗ってレースしたり走ったりするシーンはなく、バイクが関わってくる人間ドラマが多いです。
 自分はバイクでスピードを競い合うようなことよりも、バイクに乗って楽しむことを重視するタイプなので、この漫画のようなスタイルのバイク漫画は好きです。
 
 主人公は「あやめ」という女の子で、あることをきっかけにバイクの修理屋(?)になって、東京の「恋ヶ窪」という場所でいろんな人たちと関わり合いながら仕事をしていきます。基本的に、一話完結。
 「恋ヶ窪」なんて言う、素敵な地名ですが西東京に実際にあるようです。ツーリングマップルで確認してみると、確かに存在していましたが、周りには特筆するような名所はあまり無いような、平凡な場所でした。まあ、そんな場所だからこそ、ストーリーに「味」が出たのだと思いますが。

img036_20101221044455.jpg 全体的に見ると、この漫画は人間が大人になっていく過程を描いていった作品だと思います。
 あやめは昔グレていましたが、友達の死とボスとの出会いがきっかけになって、「なんだか長い夢から覚めた」ようです。彼女はおそらく、自分とその少し周りだけの世界から広い現実世界に出て来れたのでしょうね。過去の自分とその世界を全否定するわけではないけど、現実世界を直視していく必要が出てきたからそうしたような感じなのかな。友達の死は辛いし、まだ忘れられないけど、そんな体験を一つ一つ積み重ねて、私たちは大人になっていく…ということかな。

 あやめと教習所で知り合った「いくみ」が瀬戸内海に行く話は気に入りました。
 いくみは、グダグダバイトしながら生活をしていくのではなくて、何かやりたいことを見つけて生きていきたい、というわけでバイク初心者ながらもテントを積んでロングツーリングに出かけます。そんな彼が瀬戸内海で、歌手を少しやりたかった女の人に出会います。その女の人は、別にその地から出て行きたいというわけでもありませんが、ただ、「私にも可能性があるのかな」と思っていたようでした。
 最初のいくみの気持ちは十分理解できます。私も、「どうして辛い思いをしてまでも旅に出るの?」と聞かれれば「何か目的を見つけるため」と答えますしね。何かやりたい、何か信じられるものを見つけたい、という想いはやはり大人に近づく過程では避けることの出来ない問題かと思います。
 瀬戸内海で出会った女の人も、同じ系統の問題を抱えていたのでしょうね。子供は「自分は何かが出来る!」と根拠もなく思いがちです。しかし、大人に近づくにつれて、「本当は、自分って何が出来るんだろう」と疑問に思い始めて、具体的な夢に向かって努力したり挫折したり、「何か」を見つけようとしたりするのでしょう。結局は、自分の可能性なんて他人も自分にもわからず、私たちは自分の未来なんて一切知ることができずに「今、やるかやらないか」の決定しかすることは出来ないのでしょうかね。

img037_20101221044455.jpg 人生にはいろんな出会いや別れがあり、多種多様な経験をしながら、私たちは大人になっていきます。しかし、大人になってもまだまだ学ぶことがあったりするので、私たち人間はいつまでたっても発展途上な生き物なのでしょうか。良く言えば天井知らず、悪く言えば永遠の未完成。
 なりたい自分になろうとしてなったとしても、世の中は移ろうもの。状況は刻々と変わり、自分も変わる。そんな中でどう生きていくか、どう変わっていくか。バイクは走っていないと倒れます。立ち止まって景色を見続けたいと思っても、バイクは走り続けるので景色は変わります。まるで、人生のように。
 そんな変わっていく世界や人生を悲観するくらいなら、楽しんだほうが気持ちが良いでしょう。

「先は長いんだから、走ることを楽しまないと。」


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大森 しんや

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