NHKにようこそ!1,2巻 感想 

私の思い出の漫画、NHKにようこそ!
正直言って、漫画が私に与えた影響の中ではこれが一番強いかと思われます。
多分一番時間がかかる記事になると思います。思い入れが強すぎて。

最初に言っときますが、漫画版では漫画版でしかないことについての感想を書いていきます。
つまり、小説であったイベントのことは書いていかないつもりです。


一巻

 まず第一印象、岬ちゃん可愛い、佐藤イケメン
クソッこれが世界の選択か・・・

 岬ちゃんが可愛いのは当然だが、佐藤がイケメンなのは許せん!と思ったけど、小説でも先輩から好印象持たれていたりするから、別にイケメンでもストーリー上全く問題ないんだよな。
 
死のう・・・

 小説では「やけに可愛い笑顔」と書かれていたこのシーン、ちゃんと違和感無くいい笑顔を描いてくれた大岩先生に感謝感謝。じっと見ていたらどことなく寂しい感じをさせるのもいいね。そこが岬ちゃんの魅力なんだよな。

 小説と同じように、宗教勧誘で馬鹿なことを言って薬を吸うところは忠実だ。というか薬を少年誌で扱うのは大丈夫なのか?もし薬関係の犯罪が起こればPTAから何か言われていたかもしれない。まあとりあえずそんな理由でこの漫画が終わらなくて良かった。

 佐藤が不貞寝するとき少しだけ涙を浮かべるシーンがあるが、一体佐藤は何を思ったのか?
 佐藤はひきこもりでネガティヴ思考を持っている。であるから、バイトすらまともに受けることが出来ず死ぬことも出来ない、そんな自分のふがいなさをどうしようもなく思っているのと思う。今のところは。
 この漫画はこのように台詞の無いコマが多くある。それらの殆どに登場人物の感情を示唆するような、表情を描いている。ひとコマひとコマでこのときの彼の気持ちはどんなのだろうかと考えていけば、彼らの最も奥底にある思想を垣間見ることが出来るかもしれない。

 山崎は「コンビニに人間関係は売っていない」なんてちょっとジョークに聞こえるようなことを言っていたが、案外本気かもしれない。確かに彼がただのメイド萌えである可能性も捨てがたいが、私は別の解釈をしよう。
 彼は真夜中に泣きながらアニソンを聞いていた。そして佐藤に会ったとき喜んだ。多分彼は何か嫌なことがあり泣いていた。そのとき感じたのが、孤独。北海道から上京してきて、高校時代でも友達がいない。(これは半分彼の責任なのだが)頼れる人がいないときに一番欲しいのが、信頼できる人間関係かもしれない。だがそれはお金なんかで買えやしない。金が全てのこの時代になっても、皮肉にも一番大事なものは買うことが出来ない。山崎はそんな現代の矛盾に諦めを感じているのかもしれない。

 単行本では話の合間に4コマが入る。で、まあ・・それがなんともNHKらしい。1~3コマでは佐藤のだめ人間っぷりが描かれ、4コマ目では少年エースへの自虐。
 4コマ目では例えば、「ひきこもりさえ読んでないぞ!」「ハマリ度0%だから安心!」などなど
 それに頭だけ出てくる岬ちゃんがなんとも可愛らしい。いい具合にデフォルメ化されて萌える。
 自虐と萌え、それがNHKの魅力の一つであることをこの4コマで再確認させてくれる。まあたまに本編の雰囲気ぶち壊すこともあるけどさ・・・


違和感を持て

 佐藤が感じたように、これは無いだろう・・・一体山崎はどんなエロゲをしてきたのか・・・
 これは佐藤と山崎で最高のヒロインを作り出す場面だが、これは酷い。あらゆる萌え要素を入れすぎたのだが、これただの廃人じゃないか!でもまあこんなキャラを書くことも出来る山崎はすごいと思うよ・・・

 山崎との秋葉原訪問の後、先輩に会う。黒髪ロングで大量の薬を持って、手首に傷跡・・・まさに思い描いていた先輩だ。小説ではやけに変わった人だったが、漫画でも変なことをいっぱいしてくれるだろう。

 漫画オリジナルのシーン、代アニ潜入で佐藤について少し分かることがある。それは佐藤はなぜひきもりになったのか?だ。4年前、彼が道を歩いているとき見知らぬおばさんから馬鹿にされたと感じた。ただそれだけでひきこもりになった。それだけで少しおかしいと感じるが、代アニの生徒たちが自分を陥れる工作員ではないかと妄想した。
 これらのことから考えるに、佐藤のひきこもりの原因は何かの外的要因ではなく内的要因であることが明らかだ。つまり、ひきこもりの原因は彼自身にある。彼の思想の中の何かが、彼が外に出ることを拒まさせる。佐藤の深層心理はまだ明らかになっていないが、ゆっくり色んな解釈をしながら読み進めていけば明らかになるだろうと思う。
 ついでに書くが、佐藤は頭もよくシナリオを書く才能もある。つまり彼自身の能力は人並みにはあることがわかる。ということは彼には他人と比較しての劣等感は少ないと思うが、どうなのだろうか。

 母親が上京しようと電話したとき、佐藤は地元へ強制送還されることを嫌がった。それはなぜか?もし地元に帰れば飯を食べたり清潔な部屋で暮らせたりして万々歳だと思ったが、佐藤にとってはそれとは別の何か嫌なことがあるのだろう。多分それは、今のようにひきこもり生活が出来ず、親からお見合いしろだの就職しろだの言われることが嫌なのかもしれないし、山崎や岬ちゃんと離れることが嫌かもしれない。ということは佐藤は、現状の生活を案外気に入っているという可能性がある。真実は知らないが。

 一番最後の企画書も面白い。佐藤が書いたという設定になっているが、どう見ても滝本先生の文章です。本当にありがとうございました。
 軽い文体、迷走する文章、いかにも滝本って感じだ。この純文学作家に大いに笑われそうなこんな文を、私は大好きだ。なぜかは知らん。

 
 ずっと取り留めの無いことを書いて、読んでいた人もつまらなかっただろう。
 というわけでおまけ↓


ガチエロ

これでいいのか!?少年エース!!



二巻

 さあさあやってきました第二巻、表紙は先輩でヴェリーキュートでポップな感じです。表紙だけ見れば全く欝要素入ってないように思えるんだがな~・・・
 表紙をはずせばちょっとした漫画があります。ここに出てくる文字は全てローマ字ですが、この巻のあるコマだけに日本語が載っています。そのコマには、岬死ねだの殺すだの・・・他のコマには何とでもないものだらけなのに、この一つのコマだけは異色過ぎて目立っています。これを表紙に載せたのは、岬ちゃんがいじめられていたことを示唆するものであり、重要な要素であるでしょう。正直こんなものは見たくありませんが、NHKにようこそ!と言う漫画を理解するうえでは必要不可欠な情報でしょうね・・・

 今回も少し納得できないところがありましたよ。それは佐藤の母が佐藤のアパートに訪れたとき、佐藤の部屋に入らなかったことを佐藤が不満げだったことです。佐藤の部屋にはエロ本やエロゲなどが散乱していて、他人には見せられないような惨状でした。そのような状態であれば普通の人は、部屋に入られなくてほっとすると思います。なぜ佐藤はあの態度をとったのか?
 佐藤は母を愛しています。マザコンとかそういうのじゃなくて、嘘をついたことを深く反省したりする優しい青年です。ですからそんな彼が、せっかく部屋まで来てくれた母に対し、少しでもいいから何かおもてなしをしたかったのではないでしょうか。恥ずかしいものが散乱していますが、そんな自分の恥よりも相手のことを気遣っていたのでしょう。だからこそ、自分の思い通りにことが進まず勝手にどこか行こうとする母にすこし不満げだったのでしょう。・・・あまり関係ないけど佐藤のアパートって結構広いな~・・・小説では6畳一間だったというのに。

 山崎のことについてですが、一つだけ分かったことがあります。それは、「山崎は二次元がとにかく好きだからオタクになったのではなく、三次元が嫌だからその逃避のために二次元に意識を向けるようになった」ことです。つまり彼の思考回路は、
「三次は糞だ!その反面二次元は・・・」
 こんな感じで現実を否定し空想を肯定するようになっています。まあ確かにその思考は分かります。現実は無慈悲で何もかも思い通りに行かない反面、空想上では誰だってヒーローになれるのですから。いじめられていた山崎が二次元へ逃避するのは無理ありません。

 どんどん佐藤はリア充の道へと進んでいますが、その道を佐藤自身が閉ざしてしまっています。せっかく岬ちゃんが佐藤に好意を持って対応しているのに、佐藤はその行為を信じることが出来ず、またもや精神的にひきこもります。なぜ相手を信じることが出来ないのかと言うと、傷つくのが怖いから。
 佐藤の深層心理が少し分かりました。彼は臆病で逃げてばかりです。だから誰からも傷つけられないようにひきこもりになりました。私はつい先ほど、臆病と言う言葉を使いましたがこの言葉は世間一般では否定語として使われます。つまり佐藤は世間から非難されるかもしれません。ですが彼は臆病なので行動を起こすことが出来ず、ますます臆病になります。これはひどい悪循環です。臆病な人には逃げようとしても逃げ切れず、結局その問題を解決するには本人が勇気を出して、傷つくことを過剰に恐れないようにしなければなりません。
 少しひきこもりが増えている現状を理解できたと思います。ひきこもりの逃避は逃避になっておらず、ますます傷ついていってしまう。そのおかげでますます傷つくことを恐れてしまう、というような悪循環からなっているのではないでしょうか。現実で逃げることは許されず、逃げるものには明日が無いというように、現実世界とは絶望的なのかもしれません。

 そうして僕らはひきこもるのか?
 人が嫌いだから、世の中に絶望したから、自信が無いから
 どれも正解のようで、しかしどれも決定的じゃなくて・・・
 「人はあるはずの無い自分だけのイデアをずっと求めている
  それがどんなに自分を傷つけるものでも、それを求めずにはいられない
  ないとわかっていても正解が知りたいの」
 イデアとは本質のことを指す言葉だったと思います。この言葉全体を見るに、人は自分の信じることの出来る真実と言うものを欲しがっていることを指しているのではないでしょうか。つまり今の人には、明確に信じることが出来るものが無い。戦時中や外国では神を信じていますが、現代人は特に何者からも束縛されること無く、自分の力で生きています。それによって引き起こされるのが、イデオロギーの消失。それによって人々にはすがるものが無く、惑う人々は救われることがありません。この言葉はこのような現代人の、いや人間の本質をとらえた言葉なのかもしれません。
 ちなみに滝本先生の小説にはこの思想が根底にあるかと思われます。その話はまた別の機会に。もう一つおまけに、ないとわかってても知りたい、という言葉はプラネテスのラストシーンを思い出させてくれます。プラネテスにもこの思想があったのでしょうか。

 しかし・・・岬ちゃんは本当にやりたい放題だな。いつの間にやら佐藤の部屋に盗聴器を仕込んで先輩との会話を聞いている。彼女には犯罪とかプライバシーとか佐藤に対して失礼とかそういう思いは無かったのか!?と思いましたがこのコマ見れば納得。

ゴミ虫

うん、もうほんと言い過ぎ
 つまり岬ちゃんには佐藤個人に対してこれっぽっちも好意は無く、佐藤のステータスにだけ注目していたのか。自分よりだめ人間、それが岬ちゃんの望む人物。

 ・・・クソっ、そんな岬ちゃんには罰を与えなければ・・・

 ↓

超エロ

さあみなさん!!本能のおもむくままに罰を与えてください!!

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総括


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