小説 ブレイブストーリー 上 感想 

雑記
 批評と感想は違いますが、その違いとは具体的に何なのでしょうか?
 「批評」は客観的に作品を見て、「感想」は主観的に作品を見ているような気がします。
 批評家ぶった感想家がいるらしいですが、そういう人は自分の意見が最も一般的なものだと信じて疑わない人たちだと思います。

ということを、ある漫画を読んで思った。


ブレイブストーリー 上

 ミステリー作家として知られていながらも、かなりのゲームオタクである宮部みゆきさんが執筆したブレイブストーリーについて感想を書いていきます。
 NHKにようこそ!で少し小説というジャンルに興味を持ち、簡単に読めるけど一応ライトノベルではないような小説ないかな~と探していたら、この小説を見つけました。今となってはこの本を買うことに決めたきっかけはわかりませんが、長編で読みやすくて楽しかったのが買ってよかったです。

 私が買ったのは文庫版で、そのときにはすでに映画化が決まっており、しおりが映画の宣伝になっていました。確かにこの本の内容はかなりファンタジックで、アニメやゲームなどにかなり向いているものだと思います。まあ、ゲームオタクの宮部みゆきさんの趣味が全開のようですしね。
 文庫版は全三巻で、ルビの多いライトノベルの出版社が出したものもあります。かなり長い小説なので読み始めるには覚悟が必要ですが、さくさく読んでいけるので苦にはなりません。

 
 さて、上巻のあらすじですが、主人公のワタルは学校で評判になっている幽霊ビルについて調べたりしているうちに、謎の転校生のミツルがやってきたりして、いくらかの小さな事件が起こりながらも小学生らしい生活を送っています。しかし、突然ワタルの父が離婚を切り出し、そのおかげでワタルの家庭はめちゃくちゃになってしまいます。そんな中で、ワタルは幽霊ビルにあった幻界への扉を開いて幻界に行き、願いを叶えてくれるという女神様に会って、元の平和な生活を送れるようにしてもらおうとします。
 幻界はゲームの中のような世界で、トカゲが人のように生活していたり、魔法が存在していたりします。上巻では最初の町に行こうとしたところで、中巻に続くことになります。

 上巻の四分の三ほどは現実の世界のことばかりなので、あまりファンタジーのようなものはありません。序盤は子供が主人公の普通の小説っぽい感じです。主人公のワタルは、小学生にしてはかなり大人びている、というわけではなく、かなり普通の、ゲームが好きであまり勉強やスポーツは得意ではない小学生です。かなり合理的で理論的な父の影響から、ワタルもそれなりに理論的な考え方ができる子供ですが、思考回路は普通の小学生とさして変わりません。
 そんな普通の小学生のワタルに、突然親の離婚という、子供にとっては天地がひっくり返るかのような大事件が起こりました。ショックを受けて、絶望しているワタルの様子を見るのはかなり心が痛みましたよ。大人たちに振り回され、子供のワタルはただ逃げることしか出来ない。挙句の果てに、自暴自棄の母にガスで心中させられそうになったところは、このかよわい子供の運命を呪いましたよ。
 ワタルが命を賭けてでも幻界に行こうとしたのは、この哀れな自分と周りの不幸な運命を全て変えようとしたからです。非力な子供の力では、このまま現実にいても運命を変えることは非常に難しいし。

 謎の多いミツルという少年は、過去に自分を偶然救ってくれたワタルを幻界に誘った少年です。幻界に行くということは、命を賭けてでも叶えたいと思っている願いがあるからです。それはミツルも同じです。彼は、一家心中によって自分以外の家族が死んだという、悲しすぎる過去を持っています。せめて、幼かった妹だけは生き返らせてやりたい、そう願ってミツルは幻界にいる女神を目指すことになったのです。

 ワタルとミツルは、頭の出来もカリスマ性も真逆同士の少年ですが、その二人の微妙な関係は良いですね。ライバルでもなく親友でもなく、かといって嫌い合ってもいないし。
 これからワタルの長い旅が始まります。ゲームの中みたいだけど何かと複雑な幻界の中で、普通の少年ワタルはどのようにして旅を続けていくのか、楽しみですね。


中巻 感想
下巻 感想

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)
(2006/05/23)
宮部 みゆき

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