プラネテス前半 感想 

神作品と名高いプラネテス、今でも面白い漫画としてよく名前があげられる作品だ。
この作品の人気の秘密には、ただ宇宙のことだけを書いているのではなく、人間のドラマ、愛とは何かなど、わかりやすくかつ深いテーマを扱っているからだろう。

 もう面倒くさいから「~だ」口調にしたろー


第一巻

 時は2074年ごろから始まる。地球の周りにはデブリというゴミがあり、ただ単に漂っているだけでなく約秒速8kmで移動している。なのでそのゴミが宇宙船などに衝突すると、船体に大きなダメージを負う。最悪の場合、大破する。そんな危険なものを回収するのが「デブリ屋」だ。この漫画はそんな宇宙の裏方のような仕事から始まる。

 この漫画はSFであり、もちろん空想の世界だ。しかし、この漫画に出てくる宇宙、月での生活は、何の違和感も無く読者の頭に入ってくる。読者はそんな生活なんてほとんど知らないはずだ。作者も、月での生活というのは何も知らないはずだ。しかし、この漫画を読んでいると、妙に生活感というものを感じた。SF作品で生活感を感じさせるというのは、本来ありえないことだと思うが、この漫画はそれをやってのけた。それは、やはり作者の力量だろう。綿密に描かれた背景、機械、人の表情。それらが相互に作用しあってこの感覚を生み出したに違いない。
SF生活


 作者はNASAが出版しているような本でも読み漁ったのか?この漫画に出てくる機械たちはどれも細微まで丁寧に描かれており、リアリティすら感じてしまうほどだ。
細美

 こんな宇宙船なんて私は一切見たことないし、考えたことも無い。これは現実にあるものを参考にしたのか?それとも作者の空想力か?どちらにしてもすごいとしか言いようが無い。

 この漫画には宇宙防衛戦線という組織が出てくる。彼らは資源を食いつぶしていく人間を毛嫌いしており、なので人間が他の星にまでいって資源の採取をすることをなんとかして妨げようとする。彼らの言い分は良く分かるが、まだ賛同できない。だがこれからの展開ではまだまだ出てきそうな予感がする。

 九太郎のロケットのシーンで出てきたのだが、「龍勢祭り」とはどういうものなのだろうか?ウィキで調べると、「1543年、種子島に伝来された火縄銃及び黒色火薬は、国産化され戦国時代に武器として活用された。 1600年の関ヶ原合戦では戦況を石田三成の居城である佐和山城にいち早く知らせるために、空高く打ち上けられた狼煙が打ち上げられた。この狼煙の一種が改良されて、その後の平和な時代になって龍勢(流星)となって農村の神事・祭礼用から娯楽に転化した。」というものらしい。つまり、日本人は1600年頃からロケットの制作をしていたことになるのだろうか。うーむ、なかなか面白い歴史だ。

 宇宙の概念をユーリが語るシーン、「宇宙には境目が無い」という言葉がある。ここでいう宇宙とはもちろん宇宙空間のことも指しているが、それに加えて、世界の全て、森羅万象のことも指しているのだろう。私が考えるに、ここで言いたいのは、森羅万象全てのものは、何かとつながりあっている、ということなのだろうか。だからこそユーリは一つのことに執着しないようにと、コンパスを壊してくれたのを感謝したのか。昔仏陀の思想についての本を読んだことがあるが、彼もこのようなことを言っていた。時代を超えて、この思想は存在し続けるものなのだろうかと考えてしまう。

 夢を追い続けるのは大変なことだ。夢を追うという行為自体が、自分に自信をもたせ、夢心地な気分にさせてくれる。しかしその夢が途方も無く大変で、叶えることが出来ないなんて思ってしまったら?そう思っているうちにやる気を無くし、諦めてしまう。そんな人生は多々ある。ハチマキもそんな心配をしたのだろうか。もう一人の自分に夢を諦めろといわれるシーンでは、そんな夢と人間の心について少し考えてしまった。
 しかし後になって、ハチマキは夢を諦めないことを決意した。このきっかけは、直前にあったタンデムミラーエンジンとの邂逅だろう。そのおかげで彼は悟った。夢心地でいたいだけじゃない、本当に夢を追いかけるんだと。あんたとのけんかを一生するというのは、ずっと夢を追い続けることを意識することなのだろうか。間違っているかもしれないが。



第二巻

 6話はロックスミス博士が出てくる話だ。彼は本当に宇宙を愛していて、それ以外のことは何も考えていない。研究員が大勢死んだときですら、ただそれの後始末を考えていたほどだ。確かに彼は非情な人間だ。しかし、彼こそがハチマキの憧れる人間なのだろう。自分のことを最優先するわがままな人間。そうでなければ宇宙などという人類にとって途方も無く存在と立ち向かうことができないのか。
 私の考えでは、そんな生き方もいいと思う。ただへらへらと生きがいも見出せずに生きていくよりはよっぽどマシだ。

 タナベの言うとは何だろうか。彼女は地球軌道に戻ってきた死体を回収すべきだと主張した。死体本人が宇宙葬を望み、地球に戻らないようにしたのにだ。理由は、一人で生きて一人で死ぬというのはおかしい、宇宙は一人では広すぎる、といった感じだ。彼女は、宇宙とは広大すぎて一人では生きていけない、だからこそ人は繋がり合って生きていくべきだと考えているのだろう。愛が無ければ人は生きていけない、と。
 
愛



 しかし、そんなに愛、愛と声高に言うのはどうだろうか。どうも私にはタナベはウザイと感じてしまう。人間には色んな種類がいるから、愛を必要としない人間もいたりしないのか?だれともつながらなくていい、俺は一人になりたいんだ、と。


宇宙



 しかしこのコマでタナベの言うことが若干分かったような気がする。宇宙は全てと繋がっている、だからそんな宇宙の中で一人になるなんて出来ないことだし、無意味なことでもあるのではないか。タナベとハチマキの見ている宇宙は違っていたのだ。タナベは、宇宙とは世界。ハチマキは、宇宙は宇宙空間を指すと思っていたのか。

 最後にハチマキが木星に行こう、と言ったのは燃え上がるような野望を無くし、単に木星に行きたいという思いからでた言葉なのか。真相は分からない。

 心に残った言葉も書いておこう。
「問題はこの誰にでも平等に無慈悲な世界を、どう受け入れるかってことだったのかもな」

「クソッタレな今日を生きていけるのは!明日に期待するからだろ!?」


 一話一話で色々なテーマを含んだこの漫画、ぜひ色んな人間に読んで欲しい漫画だ。

後半感想

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